Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もゆるほお

燃ゆる頬・聖家族

堀 辰雄

Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

ここにこうしてぼんやりストーブに温まっていると、いかにもそんな感じがして来てならなかったが、静かに降りだしているのは霧のような雨らしかった。

その夜十二時近くに、私はすっかり雨に濡れ、力なげな咳さえしながら、午前中に出たきりのホテル・エソワイアンに帰って来てみると、その中はひっそりかんとして、誰もまだ帰ってきていないのか、それとももうみんな寝てしまったのか、分らないくらいだった。薄ぐらい廊下にただ一匹、からす猫がうろうろしていた。私はふとヴェルネ・クラブでちらっと見た美しい婦人の抱いていた仔猫のことを思い出し(どうしてだか、それがずっと数日前のような気もしたが)、そのきたならしい猫をそっと抱き上げて、咽喉のところを撫でてやったら、すぐにそいつが咽喉をごろごろ鳴らし出したので、私はなんだか反ってさびしい気がした。床におろしてやると、私の足へ身をすりよせるようにして、ついてくるのだ。すこし邪魔っけになって、私はその猫を足で向うへ押しやりながら、自分の部屋にはいろうとしてそのノッブに手をかけた拍子に、ひょいと薄ぐらい廊下の突きあたりを見すかすと、其処に、二階への階段へちょっと片足をかけたまま、ぼんやりした人影がこちらへ顔を向けながら突っ立っているのに気がついた。