Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もゆるほお

燃ゆる頬・聖家族

堀 辰雄

Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

しかしそういうような愛人や両親や自分自身から離れている不安は、その不安に慣れるにしたがって、彼自身もだんだん平気になって行くのではないかと考えはじめた刹那、それは一層大きな恐怖に変わる。何故なら、習慣の錬金術がこうして苦しんでいるものを完全な無関心者(その者にはそんな苦しみの原因が全く莫迦げたものに思われるのだ)に変えてしまい、そうしてその時こそは彼の愛情の対象が消えるのみならず、その愛情そのものさえ消えてしまうかも知れないからだ……

――ふとそんな一節を読みあてた頁から私は目をそらして、私にはまだ慣れきっていない自分の部屋を眺めまわしたのち、それから目をつぶって、今朝のちょっと無気味だった眼覚めを心のうちにまざまざと蘇らせた。……

翌朝、私が目をさましたのは昨日よりもまたずっと遅いらしかった。例の支那人のボオイを呼んで、朝飯はまだ食わせてくれるかと聞いたら、すこし怒ったような顔つきをして、朝食を食べるならもう少し早く起きてほしい、もう十二時だ、と下手糞な日本語で、それだけ一層そう見えるのかも知れないが、私にかなり突慳貪な返事をした。が、私が食堂の中へはいって見るとそこにはまだ昨日と同じように三人の女が遅い朝飯に向っていた。