Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もゆるほお

燃ゆる頬・聖家族

堀 辰雄

Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

そのせいばかりでなく、その露台の眺望は、いつも彼のベッドの上から見えるのとは非常に様子が異っていた。そしてそれが、彼の病室の窓硝子が跡方もなく破壊されているからばかりでなしに、その露台に通じているドアがその蝶番ごとそっくり剥ぎとられてしまっているためであることに彼は漸っと気がついた。硝子の破れる音は彼もうつつに聞いて知っていたが、あんなに巌畳だったドアがこんなにまで破壊し尽されたことを昨夜少しも知らずにいたことが彼を気味わるがらせた。

南アルプスの山頂はまた一面に真白になりながら、いつの間にか彼の窓からずっと後へ退っていた。それを眺めながら、彼が自分のいま生きていることを確めでもするように、彼のもじゃもじゃになった髪の毛へひょいと手を触れたら、その一本一本が神経そのものであるかのように痛んだ。

彼は眠ることが出来なくなった。

どうも夜中になると熱が出てくるらしい。ちょっと眠ったかと思うとすぐ汗みどろになって目がさめた。朝の体温が三十八度位で一日のうちの最高で、それから次第に下って、夕方には最低三十七度位になった。熱の系統が普通とは逆であった。しかもそれがかなり秩序立っていた。