Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
焼けた砂が、まるでパンの焦げるような好い匂いがした。
海岸には、光線がぎっしりと充填って、まぶしくって、何にも見えない位だった。そしてその光線の中へは、一種の妖精にでもならなければ、這入れないように見えた。私は盲のように、手さぐりしながら、その中へおずおずと、足を踏み入れていった。
小さな子供たちがせっせと砂の中に生埋めにしている、一人の半裸体の少女が、ぼんやり私の目にはいる。お前かしらと思って、私は近づきかける。……すると大きな海水帽のかげから、私の見知らない、黒い、小さな顔が、ちらりとこちらを覗く。そしてまた知らん顔をして、元のように、すっぽりとその小さな顔を海水帽の中に埋める。……それが私の足を動けなくさせる。
私は流砂に足をとられながら、海の方へ出たらめに叫ぶ。「ハロオ!」……と、まぶしくて私にはちっとも見えない、その海の中から、それに応えて、「ハロオ! ハロオ!」
私はいそいで着物をぬぐ。そして海水着だけになって、盲のように、その声のする方へ、飛び込もうと身構える。
その瞬間、私のすぐ足許からも、「ハロオ!……」――私は振りむく。さっきの少女が、砂の中から半身を出してにっこりと笑っているのが、今度は、私にもよく見える。