Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
私はそんなことはまるっきり知らなかった。何故なら、そんな小学生の時分から、私はみんなの前では、私の母から話しかけられるのさえ、ひどく羞かしがっていたから。そうして私は私の母から隠れるようにばかりしていたから。……
――そして今もそうだった。井戸端で、みんなが身体を洗ってしまってからも、私は何時までも、そこに愚図々々していた。ただ、私の母から隠れていたいばかりに。……井戸端にしゃがんでいると、私の脊くらい伸びたダリアのおかげで、離れの方からは、こっちがちっとも見えなかった。それでいて、向うの話し声は手にとるように聞えてくる。私のボンボンの電報のことが話された。みんなが、お前までがどっと笑った。私はてれ臭そうに、耳にはさんでいた巻煙草をふかし出した。私は何度もその煙に噎せた。そして、それが私の羞恥を誤魔化した。
誰かが、私の方に近づいてくる足音がした。それはお前だった。
「何してんの?……もうお母様がお帰りなさるから、早くいらっしゃいって?」
「こいつを一服したら……」
「まあ!」お前は私と目と目を合わせて、ちらりと笑った。その瞬間、私たちにはなんだか離れの方が急にひっそりしたような気がした。