Japanische Klassiker mit Furigana
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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
Lesen Sie 爆薬の花籠 (ばくやくのはなかご) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.908 Zeichen · 204 Bildschirme
そんなことを、いま、しらべているひまはない。なぜといって、いま雷洋丸はぐんぐんと左舷へかたむいていく。
船客たちは、てんでに、なにかしら、わめきつづけている。なにしろ、船内の電灯は、はやく消えて、たよりになる光は、船員の手にしている手提ランプと、わずかに電池灯ばかりである。
それだけでは、足もとまで、とても光がとどかない。しかも、足もとに踏まえている甲板は、ひどく左舷へかたむき、船首の方は、もはや海水に、ぴしゃぴしゃ洗われている。だから、気味のわるいことといったらない。
船員は、声をからして、しきりに、救命ボートへ、船客をのせているが、これは老人や女子供が先であった。なにしろ、船がいきなり左へかたむいてしまったので、右舷の救命ボートは、下へおろせなくなった。だから、右舷のお客さまたちは、のるにもボートがなく、しかたなしに左舷のボートのあるところへあつまってきた。そこで、さわぎは、ますます大きくなり、船員が声をからしてせいりをするが、なかなかうまくいかない。
「まだ、大丈夫ですから、さわいじゃいけません。老人と子供とを先に」
「おい君、老人をつきのけて、ボートへはいりこむなんて、ずるいぞ」