Japanische Klassiker mit Furigana
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ちち
父
金子 ふみ子
Lesen Sie 父 (ちち) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.107 Zeichen · 21 Bildschirme
毎日毎日、母はそうして繋いだ三つか四つの麻糸の塊を風呂敷に包んで、わずかな工賃を貰いに弟を背負っては出かけるのだった。
ところが不思議なことに、母が出かけるとすぐ、父は必ず、自分の寝そべっている玄関脇の三畳の間へ叔母を呼び込むのであった。別にたいして話をしているようでもないのに、叔母はなかなかその部屋から出て来ないのが常だった。私はこまちゃくれた好奇心にそそられないわけには行かなかった。私はついにあるとき、そっと爪立ちをして、襖の引手の破目から中を覗いて見た……。
だが、私は別にそれ程驚かなかった。なぜなら、こうした光景を見たのは今が初めてではなかったからである。私のもっと小さい時分から、父や母はだらしない場面をいくたびか私に見せた。二人はずいぶん不注意だったのだ。そのためかどうか、私はかなり早熟で、四つ位の年から性への興味を喚び覚まされていたように思う。
母は火の消えたような女で、ひどく叱りもしなければひどく可愛がりもしない。が、父は叱る時にはかなりひどい叱り方をしたが、可愛がる時にはまた調子外れの可愛がり方をした。この二つの性格のいずれが子どもの心をより多く捉えたであろうか。