Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちちのしゅっきょう

父の出郷

葛西 善蔵

Lesen Sie 父の出郷 (ちちのしゅっきょう) von 葛西 善蔵 (かさいぜんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.047 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

「そりゃたいへんだね。何しろ今年はみんなが運がわるいようだからよっぽど気をつけないと」

「身体の方にどこにもわるいところがなさそうだから、だいじょうぶだろうと思うけど」

こうして私たちは日の暮れるのを待った。最初の動機は、Fの意気地なしの懲しめと慰めとを兼ねて一週間も遊びに帰えすつもりだったのが、つい自分ながらいくらか意外なような結果になったのだった。しかしこうした場合だから迷わんで断行した方がいいと私はしいて気を張っていたが、さすがにFと別れるのがもの悲しく、これがついに一生の別れででもあるかのような頼りない気さえした。Fの方は昨晩からずいぶん悄げていたが、行李もできて別れの晩飯にかかったが、いよいよとなると母や妹たちや祖父などに会えるという嬉しさからか、私とは反対に元気になった。

「母さんとこで二三日も遊んだら、祖父さんの方へ行ってすぐ学校へ行くようにせ。僕もじき帰る。どっちにしてもお前の入学試験時分までには帰るから、どこにおっても意気地なくかかって泣いたりするな」と、私はFに最後の訓戒を垂れた。

すっかり暗くなったところで弟は行李を担いで、Fとの二人が茶店の娘に送られて出て行ったが、高い石段を下り建長寺の境内を通ってちょうど門前の往来へ出たかと思われた時分、私はガランとした室に一人残って悲みと寂しさに