Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちのしゅっきょう
父の出郷
葛西 善蔵
Lesen Sie 父の出郷 (ちちのしゅっきょう) von 葛西 善蔵 (かさいぜんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.047 Zeichen · 18 Bildschirme
そしてすぐ電報を打ってくれないか。今夜いっしょに行ってもお前とこでは寝るところもないんだし、今夜はよく眠って気を落ちつけて出て行きたいから」
「その方がいいでしょう。とにかく兄さんにしっかりしてもらわないと、あまり神経を痛めてまた病気の方を重くしても困りますからね。遅かれ早かれ一度はこういう時期が来るんでしょうからね、まあ諦めるほかないでしょうよ」と、こういた場合にもあまり狼狽した様子を見せない弟は、こう慰めるように言って、今度は行李を置いてFと二人で出て行った。
が翌朝十時ごろ私は寝床の中で弟からの電報を受け取ったが、チチブジデキタ――という文句であった。それで昨夜チチシスのシがアの字の間違いであったことがすぐ気づかれてホッと安心の太息をついたが、同時に何かしら憑き物にでも逃げだされたような放心の気持と、禅に凝ってるのではないかと言った弟の言葉が思いだされて、顔の赧くなるのを感じた。……
じつは弟たちが出て行った後、私は一人で娘相手に酒を飲み続けていたが、私は坐っているにも堪えない気持で、盃持つ手の慄えもやまなかった。
「押入れの袴を出してくれ。これから老師さんへ独参に行ってくるから」