Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちすぎやましげまるをかたる
父杉山茂丸を語る
夢野 久作
Lesen Sie 父杉山茂丸を語る (ちちすぎやましげまるをかたる) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.127 Zeichen · 25 Bildschirme
時々翳している傘の絵を見て、馬の走って行く方向にクルクル廻わしているところへ、浴衣がけの父がノッソリ縁側に出て来て、傘の上から問うた。
「それは何の絵けエ」
弾力のある柔和な声であった。
奥の八畳の座敷中央に火鉢と座布団があって、その上にお祖父様が座っておられた。大変に憤った怖い顔をして右手に、総鉄張り、梅の花の銀象眼の煙管を持っておられた。その前に父が両手を突いて、お祖父様のお説教を聞いているのを、私はお庭の植込みの中からソーッと覗いていた。
その中、突然にお祖父様の右手が揚がったと思うと、煙管が父のモジャモジャした頭の中央に打突かってケシ飛んだ。それが眼にも止まらない早さだったのでビックリして見ている中に、父のモジャモジャ頭の中から真赤な滴りがポタリポタリと糸を引いて畳の上に落ちて流れ拡がり初めた。しかし父は両手を突いたままジッとして動かなかった。
お祖父様は、座布団の上から手を伸ばして、くの字型に曲った鉄張り銀象眼の煙管を取上げ、父の眼の前に投げ出された。
「真直ぐめて来い(モット折檻してやるから真直にして来いという意味)」
と激しい声で大喝された。