Japanische Klassiker mit Furigana
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かたこい
片恋
Lesen Sie 片恋 (かたこい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.505 Zeichen · 10 Bildschirme
「大ぜいよってたかって、その人を縛ってしまったんです。いいえ、その時はもうさっきの往来じゃありません。西洋の居酒屋か何かなんでしょう。お酒の罎がずうっとならんでいて、すみの方には大きな鸚鵡の籠が一つ吊下げてあるんです。それが夜の所だと見えて、どこもかしこも一面に青くなっていました。その青い中で――私はその人の泣きそうな顔をその青い中で見たんです。あなただって見れば、きっとかなしくなったわ。眼に涙をためて、口を半分ばかりあいて……」
そうしたら、呼笛が鳴って、写真が消えてしまったんだ。あとは白い幕ばかりさ。お徳の奴の文句が好い、――「みんな消えてしまったんです。消えて儚くなりにけりか。どうせ何でもそうしたもんね。」
これだけ聞くと、大に悟っているらしいが、お徳は泣き笑いをしながら、僕にいや味でも云うような調子で、こう云うんだ。あいつは悪くすると君、ヒステリイだぜ。
だが、ヒステリイにしても、いやに真剣な所があったっけ。事によると、写真に惚れたと云うのは作り話で、ほんとうは誰か我々の連中に片恋をした事があるのかも知れない。
(二人の乗っていた電車は、この時、薄暮の新橋停車場へ着いた。