Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼたん
牡丹
宮本 百合子
Lesen Sie 牡丹 (ぼたん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.684 Zeichen · 26 Bildschirme
「やあ」
手塚は立ち上りそうにしたのを再び思いなおして、かけたまま、
「これはこれは」
と帽子に手をかけた。背広の男は、
「通りがかりにひょっと見るとどうもあなたらしかったんでね」
と云った。
「なかなか立派に出来ますね」
「いや、主人公はこちらです。――浜さんといってお親しく願っている方です、飯田、幸雄」
幸雄は、薄色の中折れを片手で頭からむくように脱いで形式的に礼を返した。
「やあ、どうぞよろしく。――これで建坪はどの位ありましょうかね」
幸雄は面倒そうに、
「引くるめて三十五坪くらいなもんです」
と答えた。
「ふーむ。――ここからだと電車の停留場はどの見当になるでしょう」
幸雄は黙っていた。すると手塚が思い出したように、
「あなた、今日は何です、電車ですか」
と訊いた。
「いや、自動車でやって来ましたが……何です?」
手塚は片手の指で半白の髭が延びた顎を撫でていたが、あちらを向いて鳶の働くのを眺めている幸雄の肩を軽く叩いた。
「君、この方が自動車で来られたんだそうだが、丁度いい工合だ、帰途乗せていただいて病院へ廻って行こうじゃないか」
自信のない不自然な微笑を浮べている手塚を幸雄はきっと頭を廻して睨んだが、見るうちに相恰が変った。