Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうごくのはんにち
牢獄の半日
葉山 嘉樹
Lesen Sie 牢獄の半日 (ろうごくのはんにち) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.671 Zeichen · 16 Bildschirme
それが今、声帯は躍動し、鼓膜は裂けるばかりに、同志の言葉に震え騒いでいる。
――この上に、無限に高い空と、突っかかって来そうな壁の代りに、屋根や木々や、野原やの――遙なる視野――があればなあ、と私は淋しい気持になった。
陰鬱の直線の生活! 監獄には曲線がない。煉瓦! 獄舎! 監守の顔! 塀! 窓!
窓によって限られた四角な空!
夜になると浅い眠りに、捕縛される時の夢を見る。眠りが覚めると、監獄の中に寝てるくせに、――まあよかった――と思う。引っ張られる時より引っ張られてからは、どんなに楽なものか。
私は窓から、外を眺めて絶えず声帯の運動をやっていた。それは震動が止んでから三時間も経った午後の三時頃であった。
――オイ――と、扉の方から呼ぶ。
――何だ! 私は答える。
――暴れちゃいかんじゃないか。
――馬鹿野郎! 暴れて悪けりゃなぜ外へ出さないんだ!
――出す必要がないから出さないんだ。
――なぜ必要がないんだ。
――この通り何でもないってことが分っているから出さないんだ。
――手前は何だ? 鯰か、それとも大森博士か、一体手前は何だ。
――俺は看守長だ。