Japanische Klassiker mit Furigana
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カラスキーしのゆうじょう
犂氏の友情
久生 十蘭
Lesen Sie 犂氏の友情 (カラスキーしのゆうじょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.312 Zeichen · 27 Bildschirme
カラスキーの頬に、ほのかな血の色がさし、その眼は、じかに何か好もしい風景にでも触れているような、一種恍惚とした翳の中に沈み込んだ。
「……わたしの田舎は、ドニエープル河のそばのザパロージェというところにあるのです。河の名前ぐらいはお聞きになったことがあるかもしれない。ウクライナの南のほうです。……夏が近くなると、野生の雑草が繁った茫漠とした草原の中に、数限りない花が咲乱れています。高い草を押し分けるようにして、連翹色のオローシカが咲いている。黄金色のえにしだが三角形の頭を突き出し、白い苜蓿が点々と野面を彩っています。……鷓鴣が飛び出す、鷹がゆるゆると輪を描く。……夕方になると、湖から飛び上った白鳥の列が、銀の鈴を振るような声で鳴きながら北のほうへ渡って行く、その羽根に薔薇色の夕陽が当って、薄暗くなった空の中を、赤いハンカチでも飛んでるように見えるのです。……アンドリュウのお祭になると、村々が湧き立つような騒ぎになる。蜜餠だの、罌粟餠だの、油揚餠だの、肥った牝山羊の肉や、古い蜂蜜。……大きな樺の樹の下で、古いザパロージェ人の老人たちがパンドーラを弾きながら火酒を飲んでいる。