Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎせいしゃ
犠牲者
平林 初之輔
Lesen Sie 犠牲者 (ぎせいしゃ) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.364 Zeichen · 37 Bildschirme
「そうです」
と彼は心から恐縮しきって答えた。
「いずれ詳しいことは判事から審問がある筈だが、君は、何故拘引されたかわかっているだろうね?」
彼は忽ち返事に窮した。実際彼にはさっぱり拘引された理由がわからなかったのである。しかし「わかりません」と鸚鵡返しに言ってのければ、余計に相手の疑を増すことにもなり、それに第一無礼にあたるような気もした。少し妙ではあるが、ことによると帰り途で最初の一撃にあったことと関連して、何かの人違いで自分が拘引されたのかも知れぬとふっと気がついたが、さればと言って「わかっています」と言いきるのは相手を馬鹿にしたようで如何にも図々しすぎる。
「はっきりとはわかりませんが……」ともじもじしながら彼は答えた。
「はっきりわからなくともおぼえはあるんだね、よしよし」と課長は独り合点して大きくうなずいた。
「君は昨夜、浅野護謨会社の小使を殺したろう?」
獲物に向って発射した弾丸の手ごたえを見定める時の、熟練した猟夫のような眼で、課長は穴のあく程相手の顔を見た。今の不意討ち的訊問の手ごたえを見てとろうとしたのである。
ところが、彼の期待とは打ってかわった妙な反応があらわれた。