Japanische Klassiker mit Furigana
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いぬとふるこうもり
犬と古洋傘
小川 未明
Lesen Sie 犬と古洋傘 (いぬとふるこうもり) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.104 Zeichen · 5 Bildschirme
「どうなったろう?」という、好奇心も起こって、なんだか、そのやぶの近くになると、重苦しいような気さえしました。
彼は、やぶのそばへきて、耳をすましました。
もう泣き声はきこえません。
「はてな、みんな死んでしまったのかしらん。」
怖ろしいものでも見るようにして、のぞいてみると、三びきのうち二ひきは死んでしまって、一ぴきだけが、こもから出て死んだ兄弟のまわりをまわっていました。
この一ぴきも、晩には、死ぬであろうと思います。
男は、胸の中が苦しくなりました。よほど、この一ぴきを家へつれていって、助けてやろうかとも考えました。
だが、その世話が、またたいへんだとも思いました。見なければ、知らずにしまったことだ、そうだ、おれは、見なかったことにして、このままいってしまおう……と、気の弱い彼は自分の心をはげまして、そのまま小犬を見捨てて、家へ帰ってしまいました。
その夜は、前の晩よりも寒く、それに、風さえ烈しかったのであります。
男は、たびたび目をさまして、床の中で、後に一ぴき生き残っていた、いじらしい犬の姿を思い出していました。
翌日、彼は、その道を通るのが、なんとなく心がとがめて、ほかの道を遠まわりして仕事にいきました。