Japanische Klassiker mit Furigana
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いちろうじん
犬田卯短編集二
犬田 卯
Lesen Sie 犬田卯短編集二 (いちろうじん) von 犬田 卯 (いぬたしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.383 Zeichen · 103 Bildschirme
「まア、いくら位入っていたんじゃ。」
「ちっとばかりはちっとばかりだが……」
「まア、それでもなア……どの辺で失くしたんだっぺ。」
お通は母にはかまわず、もう一辺国道を探して見たが、やはり見付からなかった。すごすごと帰って来ると、母が部落の入口で、その辺に遊んでいた五六人の子供をつかまえ、そしてくどくどと尋ねていた。しかし子供らは誰もそんなものは拾わぬという。さては、それでも俺達も探してやるといって畑道から往還へかけて、さらに坂の下まで、草の中を掻き分けたり、枯れたままの道芝を叩いたりした。
「はア、誰かに拾われてしまったんだよ。お通や」と母親はついにあきらめろというように、なおも子供らといっしょになってきょろきょろやっている娘へ言うのであったが、
「でも、ひょっとして、どんなところ落ちていねえとも限らねえから……」
お通は二度も三度も掻き分けた草の中まで、さらに足の爪先で蹴って見るのである。
三
その夜、白々明けまで、お通はひとり寝床の中で泣いていた。夕方、野良から帰った兄貴に、
「うっかりぽんとして白痴みてえにだらだら歩いてけつかるからだ、でれ助阿女」