Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうかしあかちょこべえ
狂歌師赤猪口兵衛
夢野 久作
Lesen Sie 狂歌師赤猪口兵衛 (きょうかしあかちょこべえ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.418 Zeichen · 79 Bildschirme
「聞いとる処か。私の穴倉からツイ鼻の先の出来事じゃもの。あの朝早よう、イの一番に見て置いたが、残酷い事をしたもんじゃなあ。胴中から右と左の二段にタッタ一討ちの腕の冴えようは、当節の黒田様の御家中でも珍しかろう。そればっかりじゃない。口の中に真黒い血が一と塊泌み出いておる処を見ると、これは尋常事じゃないと気が付いた故、今日がきょうまで世間の噂を探りおったものじゃがなあ」
良助は頬冠りの上から頭に手を遣った。
「ウワア。さすがは猪口兵衛どん。もうアンタに先手を打たれたか」
「先手なら商売柄アンタの方じゃろう。モウ当りが付いたかいな」
「そ……それが、まあだカイモク付いとらんたい」
「付かん筈がないがなあ。あの黒い血は毒殺した証拠じゃろう」
「そこじゃ、そこじゃ。あの口の中の硫黄臭いところは擬いもない岩見銀山の鼠取り……」
「ふん。その岩見銀山の鼠取りなら昔から大抵女の仕事ときまっとらせんかなあ」
「エライ。さすがは猪口兵衛どん……わしもそこを睨んどる」
「つまり殺いたのは女で、斬ったのは男という事になりまっしょう」
「そこじゃ、そこじゃ。そこであの死骸を蔵元屋から担い出いた大風呂敷か何かが、そこいらに棄てて在りはせんかと一所懸命に探しまわったが、怪しい縄一筋、細引一本見当らんじゃった。