Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうかしあかちょこべえ
狂歌師赤猪口兵衛
夢野 久作
Lesen Sie 狂歌師赤猪口兵衛 (きょうかしあかちょこべえ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.418 Zeichen · 79 Bildschirme
それがお気付きになれば下手人はわかります。それ以上平たくは申上げ兼ねますので……」
「ううむ。いよいよわからぬ」
「それならば今一つ詠みました。今度はおわかりになりましょう。一枚五文なら安いもので……ヘヘヘ」
赤猪口兵衛はモウ一まい渋団扇に筆を走らせて差出した。
「ふうむ。……蔵元の娘胴切りそれかぎり熊なき詮議お先まっくら……赤猪口兵衛……」
「ヘヘヘ。一枚五文なら安いもので……」
松倉十内の顔色が颯と変った。傍の脇差取るより早く、縁側を飛降りかけて来たのを、目明の良助が大手を拡げて遮り止めた。その間に赤猪口兵衛は四ツン匐いに匐いながらコソコソと木戸口から逃げ出して行った。
縁側に戻った松倉十内は青筋を立てて良助を睨み付けた。
「……ナ……何で止めた。たわけ奴がっ……お上を恐れぬ不埒な非人風情。蔵元屋の秘密が洩れてはならぬと存じて斬り棄ててくれようと存じたに……」
良助はその足下の庭石に両手を突いてヒレ伏した。
「何も申しませぬ。今日の処は何卒……」
「ならぬ。非人風情に大それた奴じゃ。ことにお先まっくらなぞと嘲弄されては役目柄が相立たぬわ。今一度引立ててまいれッ」