Japanische Klassiker mit Furigana
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きつねび
狐火
豊島 与志雄
Lesen Sie 狐火 (きつねび) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.594 Zeichen · 11 Bildschirme
それがいけなかった。夕暮に提灯もつけないでいたことについて、彼はただ、もっと早く灯をつけていたらなあ……と云うきりだった。それもいけなかった。荷馬車に乗っかっていたことについて、彼はただ、俺が馬を引張って歩いていたらなあ……と云うきりだった。それもいけなかった。前後の事情について、彼はただ、羊羮のことを考えていたんで何にも分らない……と云うきりだった。それもいけなかった。酒を飲んでいたかと聞かれて、彼はただ、飲んでいたが酔ってはいなかった……と答えるきりだった。それもいけなかった。そして更にいけないことには、彼は平兵衛からだいぶ借りがあって、前々日酒のことで平兵衛と口論をした、ということが分った。結局腹が満足するだけ酒を飲まして貰って、仲よく分れたということは、余り足しにはならなかった。それから最も不幸なことには、そして不思議なことには、あの時平吉が黐竿を持っていたということを、誰も注意しなかったし、誰も気に止めなかった。最後に最も不運なことには、ぎょろりとした眼、荒い眉、狭い額、太い口、厚い唇、偉大な体躯、何かしら獰猛らしい感じのする肉体を、彼は生れつき所有していた。