Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきとはいじん
狸と俳人
田中 貢太郎
Lesen Sie 狸と俳人 (たぬきとはいじん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.736 Zeichen · 4 Bildschirme
そして、村の子供達にも、
「先生様の狸に悪戯しちゃいかんぞ」
と云い云いした。ところで、其の庄造が病気になった。初めはちょっとした風邪であったが、それがこうじて重態に陥った。村人達はかわりがわり庄造の病気を見舞ったが、其の都度庄造の枕許に坐っている狸の殊勝な姿を見た。庄造は自分の病気が重って永くないことを悟ったので、某日其の狸に云った。
「お前とも永らくの間、仲よくして来たが、いよいよ別れなくてはならぬ日が来た。私がいなくなったら、もうあまり人に姿を見せてはならんぞ。それにどんなことがあっても、田畑などは荒さぬようにしろよ。さあ、もういいから帰れ」
庄造の言葉が終ると狸は悄然として出て往った。其の夜、庄造は親切な村人達に看とられて息を引きとった。それは安永七年六月二十五日のことであった。
それから数日の後のことであった。一日の仕事を終った村人の一人が家路に急ぎながら、庄造の墓の傍近くに来かかった時、其の墓の前に、蹲っている女の姿が眼に注いた。其の女は美しい衣服を着て手に一束の草花を持っていた。そして、よく見ると女は泣いているらしく、肩のあたりが微に震えていた。