Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうしつき
狼疾記
Lesen Sie 狼疾記 (ろうしつき) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.540 Zeichen · 47 Bildschirme
ああ、よかった、と彼はホッとするのであった。これがいつものことだった。(註1)(註2)
子供の時に中毒ったことのある食物が一生嫌いになってしまうように、このような・人類や我々の遊星への単純な不信が、もはや観念としてではなく、感覚として、彼の肉体の中に住みついてしまったのではないか、と三造は思う。今でも、空気の湿った午後の昼寝から覚めた瞬間など、どうにもならない・訳の分らない・恐ろしさ、あじきなさに襲われる。そういう時、彼はいつも昔のひねこびた小学生の恐怖を思い出さずにはいられない。概念の青臭い殻が実生活の錯綜の中に多少は脱ぎ棄てられた(と思われた)後も、なお、かつての不安の気持だけが、それだけ切離されていつまでも残っている。南米の駱馬は太古、地球の氷河時代に、危険に襲われた時も其処だけは安全な或る避難所をもっていた。地球が今の世代になって彼らを襲う危険の性質も異って来、かつての避難所ももはや意味をもたなくなったにもかかわらず、現在新大陸にいる駱馬は、死や危険の予覚を得た際には、皆必ず昔の彼らの祖先の避難所のあった場所を指して逃れようとするという。