Japanische Klassiker mit Furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme
たとえば品子にいじめられて、食うや食わずでいるためにひどく衰弱してしまったとか、逃げて出たきり行衛不明になったとか、病死したとか、云うようなことがあるのではないか。あれから此方、庄造はよくそんな夢を見て、夜中にはっと眼を覚ますと、何処かで「ニャア」と啼いているように思えるので、便所へ行くような風をしながら、そうっと起きて雨戸を開けてみたことも、一度や二度ではないのであるが、あまりたびたびそう云う幻に欺かれると、今聞いた声や夢に見た姿は、リリーの幽霊なのではないか、逃げて来る路で野たれ死にをして、魂だけが戻ったのではないのかと、そんな気がして、ぞうっと身ぶるいが出たこともある。だが又、いくら品子が意地の悪い女でも、塚本が無責任でも、まさかリリーに変ったことが起ったら黙っている筈もあるまいから、便りのないのは無事に暮らしている証拠なのだと、不吉な想像が浮かぶたびに打ち消し打ち消しして来たのであるが、それでも感心に女房の云いつけを忠実に守って、一度も六甲の方角へ足を向けたことがなかったと云うのは、監視が厳しかったばかりでなく、品子の網に引っかかるのが不愉快だからであった。