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Japanische Klassiker mit Furigana

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ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

それにつられてリリーは前脚をチャブ台から離し、幽霊の手のように胸の両側へ上げて、よちよち歩き出しながら追いかける。すると獲物をリリーの頭の真上へ持って行って静止させるので、今度はそれに狙いを定めて、一生懸命に跳び着こうとし、跳び着く拍子に素早く前脚で目的物を掴もうとするが、アワヤと云う所で失敗しては又跳び上る。こうしてようよう一匹の鰺をせしめる迄に五分や十分はかかるのである。

この同じことを庄造は何度も繰り返しているのだった。一匹やっては一杯飲んで、

「リリー」

と呼びながら次の一匹を摘まみ上げる。皿の上には約二寸程の長さの小鰺が十二三匹は載っていた筈だが、恐らく自分が満足に食べたのは三匹か四匹に過ぎまい、あとはスッパスッパ二杯酢の汁をしゃぶるだけで、身はみんなくれてやってしまう。

「あ、あ、あ痛! 痛いやないか、こら!」

やがて庄造は頓興な声を出した。リリーがいきなり肩の上へ跳び上って、爪を立てたからなのである。

「こら! 降り! 降りんかいな!」

残暑もそろそろ衰えかけた九月の半ば過ぎだったけれど、太った人にはお定まりの、暑がりやで汗ッ掻きの庄造は、この間の出水で泥だらけになった裏の縁鼻へチャブ台を持ち出して、半袖のシャツの上に毛糸の腹巻をし、麻の半股引を穿いた姿のまま胡坐をかいているのだが、その円々と膨らんだ、