Japanische Klassiker mit Furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme
それともリリーと云う猫が特別に剛情なのだろうか。尤もこれがまだ頑是ない仔猫であったら、訳なく懐くのであろうけれども、こう云う老猫になって来ると、人間と同じで、習慣や環境の違った場所へ連れて来られると云うことが、非常な打撃なのかも知れない。そして遂には、それが原因で死ぬようなことになるのかも知れない。品子はもともと、腹に一つの目算があって好きでもない猫を引き取ったので、こんなに手数が懸るものとは知らなかったが、云わば以前は敵同士であった獣のお蔭で、夜もおちおち寝られないほど苦労をさせられる因縁を思い合わせると、不思議にも腹が立たないで、猫も可哀そうなら自分も可哀そうだと云う気持が湧いて来るのであった。考えてみれば、自分だって蘆屋の家を出て来た当座は、此処の二階にひとりでしょんぼりしていることがこの上もなく悲しくって、妹夫婦が見ていない時は、毎日毎晩泣いてばかりいたではないか。自分だって、二日三日は何をする元気もなく、ろくろく物も食べなかったではないか。そうしてみれば、リリーにしたって蘆屋が恋いしいのは当り前だ。庄造さんにあんなに可愛がられていたのだものを、そのくらいな情がなければ恩知らずだ。