Japanische Klassiker mit Furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme
彼女は体を海老のようにちぢこめて、無感覚になりかけた両方の足を擦り合わした。蘆屋時代には、もう十月の末になると、夫と喧嘩しながらも湯たんぽを入れて寝たのであったが、こんな工合だと、ことしはそれまで待てないかも知れない。………
寝付かれないものとあきらめてしまって、電燈を付けて、妹から借りた先月号の「主婦之友」を、横向きに臥ながら読み出したのが、ちょうど夜中の一時であったが、それから間もなく、遠くの方からざあッと云う音が近寄って来て、直きにざあッと通り過ぎて行くのが聞えた。おや、時雨かな、と思っていると、又ざあッとやって来て、屋根の上を通る時分には、パラパラと疎らな音を落して、忍び足に消えて行く。暫くすると、又ざあッとやって来る。それにつけても、リリーは今頃何処にいるか、蘆屋へ帰っているならいいが、もしそうでもなく、路に迷っているなら、こんな晩にはさぞ雨に濡れているであろう。実を云うと、まだ塚本には逃げられたことを知らせてやらないのであるが、あれから此方、ずっとそのことが頭に引っかかっているのであった。彼女としては早く知らしてやった方が行き届いていることは分っていたのだが、「憚りながら、とうに戻って来ておりますから御安心下すって結構です、いろいろお手数をかけましたが、もう御入用はありますまいな」