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Japanische Klassiker mit Furigana

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ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

いや、考えれば、この三日間ちょっとも眠れなかったのも、実はリリーの帰って来るのが何となく待たれたからだったのだ。そう思うと彼女は、涙が出て来て仕方がないので、

「なあ、リリーや、もう何処へも行けへんなあ。」

と、そう云いながら、もう一遍ぎゅっと抱きしめると、珍しいことにリリーはじっと大人しくして、いつまでも抱かれているのであったが、その、物も云わずに唯悲しそうな眼つきをしている年老いた猫の胸の中が、今の彼女には不思議なくらいはっきり見透せるのであった。

「お前、きっとお腹減ってるやろけど、今夜はもう遅いよってにな。―――台所捜したら何なとあるやろ思うけど、ま、仕方ない、此処わての家と違うよってに、明日の朝まで待ちなされや。」

彼女は一と言一と言に頬ずりをしてから、漸うリリーを下に置いて、忘れていた窓の戸締まりをし、座布団で寝床を拵えてやり、あの時以来まだ押入に突っ込んであったフンシを出してやりなどすると、リリーはその間も始終後を追って歩いて、足もとに絡み着くようにした。そして少しでも立ち止まると、直ぐその傍へ走り寄って、首を一方へ傾けながら、何度も耳の附け根のあたりを擦り着けに来るので、