Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこせんせいのべん
猫先生の弁
豊島 与志雄
Lesen Sie 猫先生の弁 (ねこせんせいのべん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.898 Zeichen · 8 Bildschirme
一つは書斎の片隅の三畳の畳敷きで、一つは前述の猫の出入口だ。ロザリヨの辰野隆君や故人久能木慎治君などは、猫と言ったってどんなネコのことやら、とからかったが、もとより約四寸四角だから女性などははいれない。
ところが、或る深夜、異様な物音がした。私の家の猫はだいたい喧嘩に弱く、よその猫から追っかけられて逃げ帰ることが多いが、その夜はちと気配が違う。家の中にまで怪しい唸り声がする。私はまだ起きていたので、そっと立って行き、猫の出入口を他物で塞いだ。家の可愛い猫をいじめる怪しからん奴、少し痛めつけてやれというつもりだ。子供たちや女中まで起き上って来た。玄関の方に唸り声がする。箒や棒切れなど持ち出して、応援に行って見ると、相手は猫でなく、イタチだった。イタチならば、思いきって痛めつけてやれというので、その深夜、家の中でイタチ狩りが初まった。だが、こちらが怪我してはつまらないし、先方は自由自在に飛び廻る。室や廊下を右往左往したが、遂にイタチも疲れてか、玄関の物置棚の上にうずくまった。それを箒で殴りつけようとしたとたん、私たちは殆んど息がつまった。強烈な臭気、眼もあけられず顔も向けられない臭気だ。