Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 174.521 Zeichen · 344 Bildschirme
わたしも踵がズキズキするほど疲れたとき、ああ今もしこの足を哀れに思って暖い湯で洗い油でも塗ってもらったらどんなに休まるだろうと思うときがあります。あの時代の人々の生活、キリストという人の生活のひどさは、そんなどころでなかったのね、だから生活の苦労を知っているマグダラのマリアが、実に沁々と愛情をこめてその足を油ぬり、いとしさにたえなくて自分の金色の髪でそれを拭いてやったのね。キリストという一人の男の心情にみたされた思いはいかばかりでしょう。マリアの油はキリストにとって無限の意味と鼓舞とをもっていたと思います、だから、誰かが、そんなことをさせて、と非難がましく云ったとき、キリストは、マリアは自分に迫っている危機を感じてしているのだから放っておけ、と云ったのでしょう。マリアが、自分の非力を痛感しつつ(本能的に)こころをこめてキリストの足を油で洗ったとき、その顔にあった表情は描けも刻めもし得ないものだったのでしょうね、ピエタのマリア(母)の方はミケランジェロの未完成のものもあるけれど、このマリアはロセティかがあの人のシンボリズムで描いたぐらいではないかしら。