Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 174.521 Zeichen · 344 Bildschirme
ませんからね。そしてわたしは東京にいなくてはならないのですもの、ねえ。
土台、わたしのばたくりは、春頃と今と本質的にちがって来て居ります。春ごろのは、本当のばたくりでね、ああいうことがあろうか、こういう風になっては困ると、いろいろの情況を予想して気をもんだ形でした。まだ体がしゃんとしなかったし、急に家じゅうすっからかんになってしまって、もし自分がどうかあったら、あれもこれも、どうなさるだろう、と後脚で突っぱった驢馬になってしまったのね。「あなたはそうおっしゃるけれども」は、私の一代の傑作と見え、大変きつく印象されて、今だに再出現するのは恐縮の至りです。
今のばたくりの本質は、どんなことになるだろうという風な恐慌的のものではございません。あとで、きょうこそ書けますけれども、生活について、この夏から徐々にわたしの心持は変化して来ていて、どうなるにしろ、という大局の落着きが根底に与えられて居ります。従ってこわさにしろ、首をすくめて浅い息をしているという形ではないのよ。遠くのボーをサイレンかと思ってハッとするという風なものではありません。わたしは、のろのろしているが、割合突嗟の判断はたしかですから、そういう場合の自信もあります。