Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.810 Zeichen · 225 Bildschirme

Aozora Bunko

お大事に、お大事に。

九月二十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(演劇「アンナ・カレーニナ」の舞台写真の絵はがき)〕

九月二十一日、夜具をおいれしました。これは本月の新協のアンナ・カレーニナ。右端が原さんのドリイ。膝をついているのが細川ちか子のアンナです。カレーニンを滝沢がやっている。性格をちっともあの冷たい粘液質においてつかんでいない。演出は良吉。壺さん夫妻、いね、私、かえりには泉子さんを待ち合せて初日のお祝に新宿のむぎとろをたべました。御気分はいかが? きょうはむしあつかった。二十五日から夜更けの円タク流しがなくなるので不便です。

九月二十四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

九月二十四日  第三十二信

こういう紙に書くと、目方が重くて不便なので、普通の紙を買うまで待とうと思って居ました。ところが、今午後三時、二階の壁に向け、南を左にして斜かいの西日をカーテンで遮るようにした部屋の机のところに、全く快適な柔かい光線がさしている。ゆうべから、夜中にもおきて書きたかった手紙を、もう迚ものばして居られない。光線も、あたりの静かさも私の心にある熱もすべてが紙に私を吸いよせる。