Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 374.755 Zeichen · 745 Bildschirme
いるうちにひさも出て来て、久しゅうほっぽりぱなしになっていた空の植木鉢のゴタゴタを片づけたり、ポチがこしらえた縁下の穴をうずめて平らにしたり、のめり出して芽立っている青木の枝をとりまとめたり。何と珍しいでしょう。大分きれいになりました。が、つくづく眺めて嘆じて曰く「よくよくつまらない庭だねえ。」情緒のない庭です。大家さんの気質が反映して居り、庭をいじったりしている暇のない私たちの生活も現れている。何とかもうすこし、奥ゆきをつけたいものだと眺めました。
私にもしそんな暇や金があれば楓の多い、小径のある庭をつくります。芝生に灌木の茂みがあって、その下に並んでねころぶによい静かなかげをつくります。冬になると、濃い濃い紅梅がチラリチラリと咲き出せば申し分はありません。ずっと昔、エチオピアに、今ロンドンにいる王が暮していた時分、日本人のクックが行っていて、その話に、エチオピアでは人のたけほどの紫の菖蒲が咲くのですって。その紫の花が咲き連っている間を、色の黒い高貴な面立ちの王が、黄金色の日傘をさして散歩されるのは、美しい眺めだったと話していたのを憶い出します。