Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
さあ見て来なくては。そして夜はその袷のとも衿をとりかえるのよ、御覧になったら下手で、きっとすぐわかるでしょう。きょう、ふとんやに坐布団縫いのこときかせました、ひきうけるかしら。
この紙はペンの先を案外に早く悪くいたします、そしてかきにくいのよ。この頃の手紙の字はきれいでありません。気ががさがさしているというのではなくて、画をちゃんとひっかけて、きっちりかくとしみて、スースーとかくでしょう? だからいやな字になるのよ。
十月九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
十月九日 土曜日
雨の音が同じようなつよさで聴えつづけて居ます。ひさしを打つ雨の音、屋根にふる雨の音、葉から葉へしたたる雨の滴、それらがみんな一つにとけ合って、かすかにきわだついくつかの音の奥に柔らかく奥ゆきのある雨の日です。
私は机の前に居ります。紫の前かけをかけて。雨の音とともに、粒々と鳴るような気持で、この部屋に云わば巣ごもっているのよ。そして、どっさりのことを感じ、その感じを味い、考え、どうしたらあなたにうまくものを書く妻らしくつたえられるだろうとも思ったりしている次第です。