Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
春までは半分正気でなくてすぎた為もあるだろうけれども、何よりあれこれと用も多かったからでしょう。これ迄念頭にもなかった種類の用事が例えば戦時保険一つにしても加って。私は小遣帳というものをつけて居て、それに今日は九月九月と書いていてさっきびっくりして訂正いたしました。あなたにも今年は迅かったでしょうか。
ことしは思いがけずひどい病気をなさり、やっとそこを通りぬけになってのお祝日ですから一層心に鮮やかです。何はなくても、菊の花はありますから、どの部屋も菊の芳しい香りを満々とさせましょう。天気がよい日を希います。天気が晴れると菊の匂いはひとしおすがすがしくていい心持ですから。みんなに何か食べて貰いたくてしきりに考えて居りますがどうなるやら。わたしはそういうことのためにまだまだ駈けまわれませんから困るわ。ああちゃんは泰子で一杯ですし。お祝いに、ああちゃんは丈夫な白の木綿ふろしきをくれました。これは全く素晴らしいおくりものよ。シーツになるのよ。わたしがはったとにらんだものだから、その魔力にさそわれて、おくりものに化してしまったの。
わたしはすこし恐縮に感じて居ります。