Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
わたしはきのう南の兵隊さんにハガキ出して、切手がはっていないことを思い出したのは、二時間も経って、そちらで、ぼんやり待っていた間でした。
寿も、いよいよ期日になって、わたしも随分気をもみ、友達たちにあれこれたのみましたが、やはり家はなく、ともかくアパートをきめると云って、出かけている次第です。一人でそんなことしてさがしているのは哀れで困りますが、私がついてやるわけにもゆかず、咲は全くえりがみをつかまれているようで自分の判断で行動出来ず、するべき立場であるという道理でおす力もなく、三人づれで出かけて、明夕かえると、翌日は又三十一日迄留守いたします。わたしのこれまでの生活の中では自分がしたこともないし、ひとにされようとも思わなかった暮しぶりというものをまざまざと見てなかなか感想が浅くありません。そういうなかで何年も暮した寿が、自分一人にとじこもった傾となり、ひとを信じ切らず、その人も何か悧巧すぎて薄情という感じを与える人となったのも、云わば無理ありません。他人の中に暮すということは、こちらで気をつかうことも多いが、つかった丈の気を活きるところもあって、その人なりのねうちで暮せるのは、却ってさっぱりしていて、こじれた所がなくて、寿のためにようございます。