Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
自分で字をかくと一字一字は見えないから心と手との流れにのってかき、字はノラノラと、ちっとも自分の好きにはかけません。
お読みになるのも何だかいやでしょうと思うわ。もうこれで又当分代筆よ。
今日は十五日の夕方ですが、春めいた晩ですっかりくらくなったけれど、廊下をあけています。どこかで花の匂いがします。紅梅にちがいないと思い、あなたがいつかの早春にも桃とおまちがえになったこと思い出しました。香がきつすぎないこと?
三月十八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 絵はがき)〕
今日はあんまりよくないお知らせです。
山崎の小父様が十四日急逝なされました。多賀子から知らせてきました。島田のお母さんが珍らしく京都見物と奈良見物を思いたたれ多賀子を連れ、大阪の岡本のうち(かつ子のところ)へついたら電報がきて、十五日に早々母上だけお戻りになったそうです。二年程前、お目にかかったのが終りになりました。あなたからのお悔みの言葉として、手紙とお供早速送りました。母上へは別に手紙差しあげます。さぞさぞお力落しでしょう。あの小父様は私達の心持に暖かい面影を持ったかたでした。