Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
当分何とかやりくって行きましょうね、六月になると、うちの女史は東京と田舎とちゃんぽんに暮すのですって。夏どこへ行くか、なかなか決定出来ません、食物のことがあり、身のまわりのことがあり。まだ自分で洗濯など出来難いから夏こむとき宿やに一人いたりしたら不自由かとも思うの。開成山は猛烈に眩しいところなのよ、開いた地平線の遠い高みに建っていますから。多分信州の上林へでも行くのでしょう、ここは樹木が多く、木下道があり、高燥で、木賃宿のようなうちの人たちは余り不親切でもありませんから。やっぱり本がよめなかったりすると、全く知った人のいない宿やへぽつんと一人でなんか行きたくないものなのね、それは追々具体的にきまって来るでしょう。
好ちゃんの話、本当にあの子を泳がせてみたいと思います。まだ私がよく抱いた時から男の児の中の男の児という精彩にみちた風で、雄渾という資質だったから追々成人し、どんな美事に波をくぐり、水にもまれ、そして快よさそうに濤に浮んで、のびのびと手足をのばすことでしょう。やはり海辺そだちは違うのね、あの子が海を好くばかりか、見ていると、海はあの子がしなやかにきめこまかな体の線を張って、いのちの箭のように波間にくぐり貫いて行くのを、よろこびだきとるようで、一層嬉々と波だち光り、体を丈夫にする塩のふくまれたゆたか