Japanische Klassiker mit Furigana
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げんかいなだみっこう
玄海灘密航
金 史良
Lesen Sie 玄海灘密航 (げんかいなだみっこう) von 金 史良 (きむさりゃん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.605 Zeichen · 6 Bildschirme
「よしなせえ」と一言のもとに反対した。今も思い出すことが出来るが、彼は小さな口の上に黒い鼻髭のある三十男で、目をしょっちゅうしばたたいていた。その目をしばたたきながら、彼は一晩中密航に関していろいろな話をしてくれた。彼も内地へ行っていたが、渡る時はやはり旅行券がなくて密航をしたというのである。船は小さくて怒濤に呑まれんばかりに揺れるし、犬や豚のように船底に積み重ねられた男女三十余名の密航団は、船員達に踏んづけられ虫の息である。喰わず飲まず吐瀉や呻きの中で三日を過ぎ、真暗な夜中に荷物のように投げ出されたのが、又北九州沿岸の方角も名も知らない山際だったそうである。船の奴等は結局どこへでも船を着けて卸してから、見付からぬ中に逃げればいい訳である。だから時には奴等は内地へ来たぞと云って、南朝鮮多島海の離れ小島にぞろぞろと卸して影をくらますことさえあるそうである。兎に角内地へ渡って来たのは来たが、皆はひどい船酔いと餓えに殆んど半死の有様で、夜が明けるまでぶっ倒れていた。彼だけはしきりに気を立て直して、行先をさぐった。そして灯のまだらについている小さな町の方をさして、這うように山を越え逃げ込んだのだった。