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Japanische Klassiker mit Furigana

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げんだいしょうせつてんぼう

現代小説展望

豊島 与志雄

Lesen Sie 現代小説展望 (げんだいしょうせつてんぼう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.254 Zeichen · 70 Bildschirme

Aozora Bunko

小鳥どもは茂みのなかを飛び廻って、我を忘れたもののように、何やら幸福そうに啼き交わした。みずみずした葉は歓ばしげに、静かに梢の上で囁きかわし、生きた木々の枝々は、死んで倒れている木の上で、静かに荘厳に動き始めた。

(中村白葉訳)

精彩な新鮮な描写である。ところが、この木の死だけでは、小説にはならない。この一篇が小説になってるゆえんは、貧しい男の死と富裕な女の死とが、木の死と対照的に描かれてるからである。

右に引用した部分だけでも、立派な芸術的描写ではある。それには人間生活が裏づけられている。もし人間生活が――人生が――なかったならば、森の中の一本の木が切り倒されることを、こういう風に書けるものではない。然しここに裏づけられてるのは、単に生活的情感だけである。それが、他の二人の人間の死とつみ重ねられて、生活的現実性にまで濃度をまして、はじめて小説となっている。もし木の死だけで一篇の小説を成そうとするならば、おのずから異なった手法が必要であろう。

勿論小説には一定の形式というものはない。如何なる形式の小説を書こうと、それは作者の自由である。然しそれには必ず生活的現実性の裏づけが必要である。