Japanische Klassiker mit Furigana
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たまつきばのいちぐう
球突場の一隅
豊島 与志雄
Lesen Sie 球突場の一隅 (たまつきばのいちぐう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.111 Zeichen · 29 Bildschirme
」
「へえ。余りよくない用事ばかりでね。」
「馬鹿なことを仰言いよ。」
煖炉の火が音を立てて燃え出した。竈が赤くなって二人の顔を輝らした。珍らしく接する赤い火の色や音や匂いまでが、全身の感覚にある悦びと輝きとを起さした。二人はふと顔を見合ってわけもなく微笑んだ。
「火というものはいいもんだね。」
「ええ。でも私は煖炉より炬燵の方が好きですわ。よく暖まってね。」
「炬燵でちびりちびり酒でもやるなあ悪くはないね。」
「私だめ。ちっとも飲めないんですよ。」
「特別の場合を除いてはね。……だが今日のような暴風雨の日には煖炉もいいね。雨音をききながら火を見てるなあいいものだよ。」
「私は頭がくしゃくしゃしてこんな日はいやですわ。どうしていいんでしょうね。それじゃ燈台守にでもおなりなさるといいわ。」
「燈台守たあ変なことを考えたもんだね。」
「私の叔父さんに燈台守をやってた人があったんですよ。何でも富山の方ですって。随分珍らしいことがあるそうですわね。」
「そりゃあそうだろうね……。君は一体国は何処なんだい。」
「伊豆ですよ。」
「へえ近いんだね。……流れ流れて東京に着いたというんだね。