Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りそうのおんな
理想の女
豊島 与志雄
Lesen Sie 理想の女 (りそうのおんな) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.162 Zeichen · 77 Bildschirme
「何を考えていらしたの。」
私はどう答えていいか分らなかった。彼女はまた云った。
「私がはいって来ると喫驚なすったわね。何を考えていらしたの。」
いやに真剣なものを、私は彼女のうちに見て取った。そして、つとめて平静を保とうとした。
「だって突然音も立てないではいって来たんじゃないか。僕は初め幽霊かと思った。喫驚するのは当り前さ。」
彼女は一寸鼻の先で、軽蔑的な笑い方をした。それからまた暫く黙っていた。
「何か用があるのかい。」と私は尋ねた。
「いいえ、何をしていらっしゃるのか一寸見に来たのです。」
然しすぐその後で、彼女は急に顔を引緊めて、真正面から私に向って来た。
「私は今晩こそ、本当のあなたの心をききたいんです。そしてはっきりときまりをつけたいんです。」
「何のきまりをつけるんだ?」と私は平気を装った調子で答えた。彼女は私の言葉には頓着なく、先へ云い進んだ。
「あなたは、私に隠していらっしゃることがあるんでしょう?」
私ももう真剣にならざるを得なかった。卓子の上に両腕を組んで、椅子に坐り直した。
「何を隠してると云うんだ。何にもありはしない。」
「心の中で苦しんでいらっしゃることがあるんでしょう。