Japanische Klassiker mit Furigana
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こはくのパイプ
琥珀のパイプ
甲賀 三郎
Lesen Sie 琥珀のパイプ (こはくのパイプ) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.109 Zeichen · 37 Bildschirme
検事が口を出した。
「刑事さん達は少し誤解してなさるようです。私には子供の方の事は判りませんが、あとの二人は同一の人間に殺されたのではありませんよ。女を殺したものと、男を殺した奴とは違いますよ」
「何だと?」検事は声を大きくした。「どうだって?」
「二人を殺した奴は別だと云うのです。二人とも同じ兇器でやられています。そうして二人とも確に左肺をやられています。然し一人は前からで、一人は後からです。後から左肺を刺すのは普通では一寸むずかしいじゃありませんか。それに襖の切口をごらんなさい。どれも一文字に引いてあるのは、左から右に通っています。一体刃物を突き込んだ所は大きく穴が穿き、引くに従って薄くなりますから、よく分る筈です。それからあなた方は」刑事の方を向いて、「林檎の皮を御覧でしたか、皮は可成りつながっていましたが、左巻きですよ。林檎を剥いたのが左利き、襖を突いたのが左利き、女を刺したのが左利き、然し男を殺したのは右利きです」
検事も刑事も私も、いや満座の人が、半ば茫然として、この青年がさして得意らしくもなく、説きたてるのに傾聴した。
「成程」やがて沈黙は検事によって破られた。