Japanische Klassiker mit Furigana
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ことのそらね
琴のそら音
Lesen Sie 琴のそら音 (ことのそらね) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.985 Zeichen · 42 Bildschirme
「それは感心だ、君にも似合わない優しい事をしたものだ」
「だって気の毒で見ていられないもの」
「そうだろう」と余はまた法眼元信の馬を見る。自分ながらこの時は相手の寒い顔が伝染しているに相違ないと思った。咄嗟の間に死んだ女の所天の事が聞いて見たくなる。
「それでその所天の方は無事なのかね」
「所天は黒木軍についているんだが、この方はまあ幸に怪我もしないようだ」
「細君が死んだと云う報知を受取ったらさぞ驚いたろう」
「いや、それについて不思議な話があるんだがね、日本から手紙の届かない先に細君がちゃんと亭主の所へ行っているんだ」
「行ってるとは?」
「逢いに行ってるんだ」
「どうして?」
「どうしてって、逢いに行ったのさ」
「逢いに行くにも何にも当人死んでるんじゃないか」
「死んで逢いに行ったのさ」
「馬鹿あ云ってら、いくら亭主が恋しいったって、そんな芸が誰に出来るもんか。まるで林屋正三の怪談だ」
「いや実際行ったんだから、しようがない」と津田君は教育ある人にも似合ず、頑固に愚な事を主張する。
「しようがないって――何だか見て来たような事を云うぜ。おかしいな、君本当にそんな事を話してるのかい」