Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

「少しまだ寒いのね」

「あ、あ、少しまだ寒い」

わたくしはツーピースの洋装の胸を、池上は朝服のジャンパーの胴をごし/\撫でました。三がい松の根方に籐のテーブルを据え、愛蘭土麻のテーブル掛けを敷いて、その上には、またテーブルの布地と揃いのナフキンを畳んで載せた化粧皿が置いてあります。

テーブルと揃いの籐の椅子を引寄せて池上はわたくしを椅らせ、献立表を取上げました。

「けさは燻製の鰊と、ボイルドした鱈とをコックさんが用意して来てるね。君は鱈だろう」

と言いました。

「そう、鱈」

「僕は鰊」

半熟卵とトーストパンとを保温箱から取出して卓上の定めの位置に置いていた白服のおきみは、わたくし達の注文を恭しく承って去りました。わたくし達は食事をはじめながら、小くてもほんのり春の朝靄を立てゝいる池の面に、築山の梢を出た朝陽が光を落して、一たん靄に呑まれながらなお余光を水に弾ね返させて、空中へ抜け上る微妙な色調をうっとりと眺めました。

「なんだか、まわり全体が香水の朝風呂に入っているようだね」

「あんたの眼はとても腫れぼったくてよ、毎晩、お酒あんなに飲まない方がいゝと思うんだけど」