Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
「では、もし、なにかのひょうしで、その男の身の上をあたしが引受けでもしなければならなくなった場合は」
と訊き訂しますと、池上はさすがにぎょっとして、わたくしの顔を見詰めましたが、しかし力なく、
「なるほど、蝶ちゃんほどの娘には、衛星の一つや二つはあるに決っているのだろう。では仕方がない。月を逃さないためにはその衛星も引受けなくてはなるまい」
と答えました。わたくしは、まずは上首尾と思いました。
母にも嘉六から通ぜられたと見え、
「まあ/\いよ/\ほんとに結構なお話しになって――」
という言葉を真っ先に振り翳して母は寮へ乗り込んで来ました。わたくしの部屋で差し向いになると、たちまち、こうなったことが如何にもわたくしの女の技倆にあるようなことを言って褒めそやし、これからは、大家の嫁御寮になるのだから、その気位の持ち方、大ぜいの人の使い方などに就て、こま/″\と要領のあるところを述べた末、この母親の性質らしく次のように言うのを忘れませんでした。
「けども、ねえ、蝶ちゃんや。おまえさんどんなに先さまのお家の人になり切るのがよいにしたところで、あたしがおまえさんの生みの親であり、この広い世界に、親一人子一人の間柄であることだけは忘れちゃお呉れでないだろうね」