Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
枯木が密集した森林のあるところ、一望皚々の急勾配のところ、山と山との繋がりで馬の鞍のようになったところ――を通りました。雪の厚いところも、だいぶ軟かになっていて、わたくしはとき/″\ずぼりと腰の辺まで雪の中へ踏み込みます。する度びに宿の主は「お嬢さんが雪に刺さりなすった」と言います。棘じゃあるまいし。わたくしは先生のスキー服を借着していますから、いくら刺っても平気です。けれどもだぶ/\ですから、はたの見る眼には、さぞ芝居の鼠がメリケン粉の箱に落ちたような形でしたろう。わたくしが雪に刺さったのを救い出そうと宿の主と葛岡が力足を入れると、今度は三人で刺さってしまいます。無人の雪山に呼び出される人間の笑い声。だん/\訊いてみると、この宿の主は今はすっかり山中の老爺になっていますが、明治時代の少青年の頃は、明星派の歌人だったとかいう話で、東京へも何度か出たことがある。で、なつかしさにむかし新詩社の在ったとかいう九段市ヶ谷辺の町の変り方をわたくしに訊ねました。宿の主は、先生を娘時から知っていて、「詩的に言えば、あゝいう女人が奥山に住み慣れると山姫になってしまうのじゃないですかな」