Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
人間が人間でいればいざこざは無いのに、より以上の慾望を持たして、さま/″\に物好きな目に遭わせもする造物主というものは、とかく退屈なことが嫌いと見えますね」
と、宿の主は明治時代らしい詩人の口振りを持出して冷淡に語りました。私たちはそれから平易な道を廻って血の池を見物して帰りました。
夜、先生は炉辺で、とても打ち沈んだ顔をしながら、今夜のことを「昇天の夜」と名付けましょうねと言って、話を語り出すまえに、低い、しかし清らかな声で唄いました。唄の文句は外国語で全く判りません。けれども、そのメロデーには、たとえ人間の持つあらゆる節廻しは浮世の暴風雨の音声に吹き消されても、これだけは一脈残ってどうしても人々の心に徹り響くという人間最後の哀音の抑揚がありました。これを聴いていると、遣る瀬ないあまりに却って思わず異常な力を湧かして来る悲絶の韻がありました。
先生は唄ったあと、「これは芬蘭の農民たちが唄う郷土詩典カレワラの民謡詩の一つですよ」と言いました。芬蘭は、先生が体育研究にしばらく留学されていた北欧の国です。住民のフィン人はもと東洋人だったのが北欧の自然に馴化され、灰色の青味がゝった眼や、栗毛の髪を持ってはいるが、何か東洋風の純朴と一本気な情熱があると先生は兼て私たちに話していました。