Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
た。
「何か、おいしいものが喰べたいね」
少し病気がよくなると母はこう言い出しまして看護婦の眉を顰めさしました。
嘉六という男は他のことは分別のある癖に自分がしたことのないせいか、病気のことにかけては乱暴な男でして、母がそう言うと、
「ちと食わにゃ、力もつくまい」
なにかかにか取寄せたり、土産を持って来たりして母に食べさします。看護婦は自分の力では禁じ切れないので医者に告げ、医者からそう言って貰うと、嘉六はその場合は承知した顔をしていても、
「なに、医者のいうことばかり正直に聴いていても、学理だけでは生身の身体は扱えんものだ。こっちは経験があるんだから――」
そう言って母の不摂生に加担人をいたします。それで母の病気は少しよくなると、またぶり返すのでした。ぶり返す度に母は愈々こどものように頑是なくなって極度に死を惧れながら、食慾は慎めないのでした。
身体の加減のよいときは、わたくしを木の端か竹の端かのようにあしらいながら、病気が重って来ますとどういうものかまた周章てわたくしを重んじて来まして、
「神様からの預りものを、今まで粗末にして勿体ない/\」
と言って、ときには震える手を合せて、わたくしを拝むような真似をすることがあります。