Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
そうかと思うと、急にわめいて霜の土の上へ蟻につかれた芋虫のようにごろん/\と転げ廻ります。また立上り何やら判らぬ叫声を挙げて両手で自分の頭を打ったり髪の毛をむしり散らしたり、いよ/\所作を激しくして胸をはだけて萎びた乳房を邪魔なように両手の爪でばら掻きに掻きさばきます。今度は裾を捲って両足を交る/″\蹴上げ、くるりと廻って腰を二三遍振ると、隠すべき部分までわたくしに剥き出して見せようとします。
わたくしは、それをたゞ昨日の意趣返しとばかり思ってひたすら無関心の工夫をしていますと、彼女はしまいに、
「へん、どうせ、あたいは、てめえには適わねえよう」
と泣きながら言った一言で、わたくしはこの白痴も女であることを感じました。
白痴の女乞食は白痴なるがゆえに嘗て一度も、他の女から女の腕にかけては仕負されたという憾みは持たなかったのでしょう。あってもすぐ忘れるのでしょう。それを昨日わたくしによって敗北させられた。而かも腕力沙汰にまでして思い知らしめられたのでした。女が女として最も恃むべきものを敗られ自信を失うときどうなりましょうか。あらゆる自嘲自罵をわが身に加えみずから責め虐むことの力の上に移り立つことに於てのみ自分を保つ道しかありません。