Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
「可哀そうねえ。で、ご亭主の方はどうしているの」
「あいつは全くの白痴だ。かみさんの死骸に向って、おい起ねえかよ、起ねえかよというだけよ」
その日の夕べ、西の方に夕焼雲が赤くさして、郭の塔々は金字に輝き、枝川の水も空の色を映して臙脂の色に流れています。堤の上を、藍染橋の袂から白包の棺桶が担ぎ出されて堤の上を南へ川に沿って行きます。担いでいるのは年貢を取りに来る乾分の男ともう一人屈強な乞食です。その後について親分らしい男と巡査一人です。後れがちなのを親分に叱られながら、亭主の男乞食がとき/″\ぴょんと弾上る腰付や威張ったように細腰を踏み出す例の歩き方を、しくりかえし、とくりかえしてついて行きます。
東京へ売出すのを目的に栽培された草花の畑には今、芍薬やら擬宝珠やら罌粟、矢車草などの花が咲き敷き、それに夕陽栄えがさして五色の雲のようです。その中を行く女乞食の葬列は寂しいようでもあり、華かなようでもあります。女乞食はいま、楽しく送られているでしょう。わたくしは貰い米を選り分ける中に見付けた赤ちゃけ背中の穀象虫を掌の中に匍わしながら、わたくしも、もう何処かへ移ってもいゝ頃だと考えています。